夜尿症(おねしょ)外来について

夜尿症外来をはじめて1年9か月が経ちました。振り返ってみると本当に多くの子供たちが夜尿症に悩んでおり、お母さん、お父さん方もどうにかして子供の夜尿症を治したいと思って本院を受診しておられます。
まだ短い期間ではありますが。その経験をもとに①夜尿の原因 ②受診のタイミング ③夜尿症の治療などについてお話をいたします。

夜尿症(おねしょ)の原因

夜尿症には大きく分けて次の二つのタイプがあります。

1夜寝ている間に溜まる尿量(夜間尿量という)が普通の人より多くなり夜尿をしてしまうタイプ。

ヒトは子供も大人も夜寝ると夜間尿量が多くならないように抗利尿ホルモン(ADH、デスモプレシン、バゾプレシンと呼ばれている)という脳ホルモンが分泌されて尿量を減らすようになっていますが、何らかの理由で夜寝てもホルモンが十分に分泌されないため夜間尿量が増えてしまい夜尿をしてしまいます。夜尿症の75%はこのタイプであると言われています。

2抗利尿ホルモン(ADH)は十分に分泌されていて、夜間尿量は少ないのに夜尿をしてしまうタイプ。

ヒトは膀胱にある程度の尿が溜ると尿意を感じ、昼間であれば自分でトイレに行きます。
夜寝ていてもある量が溜ると「目が覚めて」トイレに行きます。しかし夜尿症の子供はこの「目が覚める」ことが出来ません。
最近の研究によるとこれは熟睡により覚醒しないのではなく、睡眠の質が悪いための、一種の「覚醒障害」によるものであるとされています。

夜尿症外来への受診のタイミング

夜尿症学会では「ひと月に一回、夜尿があり、それが三か月続く場合」を夜尿症と定義しており、治療を開始すべきとしています。少し厳しすぎる定義かとも思いますが私は週に一回以上夜尿がある場合には夜尿症外来を受診するのが良いと思っております。
受診の年齢は6歳(小学1年生)以上が良いと思います。夜尿症の治療は早く始める程、早く治ります。
10歳過ぎて治療を始めた場合はそれ以前に治療を始めた場合に比べて治療の効果が表れるまでに時間がかかるという研究データがあります。夜尿症の頻度は年齢が上がるにつれて低くなっていきますが、10歳でも5%、つまり20人に1人(40人のクラスに2人)の夜尿症の子供がいると言われております。

夜尿症の治療(1)

夜尿症は昔からあるものですから民間治療法を含めて色々な治療法があります。
私は基本的には夜尿症学会の診療ガイドラインに従って治療をしていますが、薬物療法を中心にしています。
夜尿症の原因のところで述べた(1)(2)を取り除く作用のある薬を使っています。
三か月から六か月かかりますが、約9割の患者に効果が出ており「夜尿症は正しい治療を早く行えば必ず治る」と思っています。

夜尿症の治療(2)

夜尿症の治療は長くかかるので忍耐が必要です。治療にあたっては本人をはじめ家族全員が「夜尿症を治そう」という意欲を持つことがとても大事なことです。
夜尿は大人になればなくなると思わないで「今、治そう」という気持ちが大切です。
夜尿症外来は軌道にのってくれば2週間から4週間に一回の診療でよく、本人は毎回来院する必要はありません。時々本人と会い様子をみる、話をすることが出来れば治療効果の判定に大いに役立ちます。

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神奈川本牧こどもクリニック

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